リスク回避一服でドル売り優勢 ドル円は136円台に伸び悩み=NY為替概況

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。米株式市場に買い戻しが見られ、今週に入ってのリスク回避の雰囲気が一服している。ドル円は一時137円台まで買い戻されていたものの、NY時間にかけて136円台に伸び悩む展開。

 ただ、来週の米消費者物価指数(CPI)やFOMCを巡って様子見気分も強く、積極的な動きまでは見られていない。明日は米生産者物価指数(PPI)の発表もあり、インフレの鈍化傾向が期待されているが、その数字を確認したい意向もあるようだ。

 世界的な景気後退への懸念が高まっており、投資家が安全資産に逃避し、FRBがインフレに対抗し続ける中、ドルは引き続き支持されるとの見方も出ている。金融市場は現在、2023年の景気後退という見方に落ち着きつつあるようだ。そのような中、FRBがタカ派的である限り、ドルは良好なパフォーマンスを示すはずだという。

 ドル円の200日線は134.95円付近に来ており、目先はその水準を試しに行くか注目される。一方、上値は138.65円付近に21日線が来ている状況。

 ユーロドルは1.05ドル台半ばに上昇。米株式市場に買い戻しが出ていることもあり、ここ数日のリスク回避の雰囲気が一服しているようだ。

 来週の米CPIとFOMCに市場の関心が集中しているが、ユーロに関してはECB理事会も予定されている。ECBは9月と10月に0.75%ポイントの利上げを行ったが、今回は0.50%ポイントに利上げ幅を縮小すると見られている。ただ、インフレ対策として、タカ派的なメッセージは維持するとも見られているようだ。0.50%ポイントの利上げは資産購入プロフラム(APP)の再投資の完全停止を可能にするという。さらに理事会は、来年は増額が必要との見解を共有しているとの指摘も出ている。

 少なくとも今回の理事会は0.75%ポイントの利上げとバランスシート縮小の見送りという代替シナリオの可能性は低いようだ。なお、中銀預金金利のターミナルレート(最終到達点)は2.75%か3.00との見方で見解が分かれているが、2.75%の確率の方がやや高い。

 ポンドドルは1.22ドル台を回復。ロンドン時間には一時1.21ドル台半ばまで下落していた。市場では足元の米経済指標が好調な内容が続いていることから、FRBは利上げペースは縮小するものの、利上げ姿勢は長期化するのではとの懸念が台頭している。それに伴ってリセッション(景気後退)への懸念も高まっている状況。

 ポンドは他の主要国通貨よりも景気に敏感な通貨との位置づけとなっている。景気後退は通常、多額の経常赤字を抱える英国にとっては重石となり、ポンドにとってもネガティブな環境となるの指摘も出ている。今後、世界的な景気後退のシナリオが更に強まれば、ポンドドルのバイアスは1.19ドル付近へ向かって行く可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美