ドル円は131円台に戻す FOMC委員はタカ派色が強くドル高の反応=NY為替概況

 きょうもドル円はNY時間に入って買い戻しが優勢となり、131円台に戻した。前日のパウエルFRB議長の講演はこれまで通りにタカ派色を強調していたものの、為替市場はドル売りの反応を見せ、ドル円も130円台に値を落としていた。

 ただ、この日伝わったFOMC委員の発言はタカ派色が強く、市場の想定以上の利上げ及び高金利維持に言及していた。想定以上の利上げへの警戒感や、景気の先行きに対するリスクも意識される中でドル買いが根強く出ている模様。

 先週の米雇用統計は予想外の強さを示したものの、市場の年内利下げ期待はなお温存されている状況。一部からは、今回のFRBの利上げサイクルのターミナルレート(最終到達点)は6.00%超になる可能性も指摘されているが、いまのところ市場のコンセンサスは5.00%-5.25%との見方で概ね変化はない。来週の米消費者物価指数(CPI)など次の材料を確認したい意向も見られる。

 ユーロドルは1.07ドル台で上下動。トレンドラインの下値サポートが1.0680ドル付近にあり、目先の下値サポートとして意識される。ユーロドルは先週のFOMCやECB理事会を経て戻り売りが優勢となっている。

 下げは限定的となりそうだとの声も聞かれる。先週のFOMCでの0.25%ポイントの緩やかな利上げにより、ユーロドルは心理的節目の1.10ドルを一時を超える場面も見られた。しかし、金曜日の予想外に強い米雇用統計を受けて、ドル安にポジションを傾けていた投資家がドルのショートカバーを活発化させているため、ユーロドルも調整に見舞われている。

 ただし、強い米雇用統計がユーロドルの上昇の流れを打ち消したわけではなく、単にその流れを一時的に長引かせているだけだという。もし、ユーロドルが1.05ドルに向けて下落すとすれば、そこは買い場になると考えているという。

 ポンドドルはロンドン時間に1.21ドル台を回復していたものの、維持できずに1.20ドル台に伸び悩む展開。1.19ドル台半ばに200日線が来ており、その水準は強いサポートとなっているものの、試しそうな雰囲気は残っている。

 市場では、昨年第4四半期の英GDPは横ばいが見込まれ、12月の月次GDPは建設、製造業、サービス業といた広範囲に渡る弱さから、前月比0.4%の大幅なマイナス成長が見込まれている。昨年通年のGDPはプラス4.1%程度と予想されているが、英国は今年のテクニカル的なリセッション(景気後退)に向け、上半期は活動が低下すると予想されている。

 今年の英GDPは通年で0.5%のマイナス成長が見込まれているものの、来年は0.8%のプラス成長に復帰し、来年の第4四半期にはパンデミック前のピークを超えると予想されている。今年の英経済はマイナス成長になることが確実視されているが、景気後退はより短く、より浅い、マイルドなもが見込まれている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美