ドル売りが続く ドル円は一時114円ちょうど付近まで下げ幅拡大=NY為替概況

 きょうもNY為替市場ではドルの戻り売りが優勢となり、ドル円は一時114円ちょうど付近まで下げ幅を拡大。前日の米CPIは前年比7.0%と39年ぶりの伸びを示した。市場では、FRBが3月にも利上げを開始し、バランスシート縮小に関しても早期開始というタカ派な見方が出ているが、前日の米CPIはその見方を裏付ける強い内容ではあった。

 ただ、為替市場は逆に、ドル売りの反応を強めた。昨年からのドルロングの積み上がりの多さが指摘されていたが、今回の米CPIへの反応を見て、ファンド勢中心にドルロングのポジション調整が加速したものと思われる。そのような中で市場からは、ドル買いを再開するには、より力強い米成長を裏付けるだけの強い米経済指標が必要との声も出ている。

 ドル円はきょうの下げで、21日線を完全に下回っており、下値警戒感を高める展開となっている。12月初めから1月初めの上昇波のフィボナッチ50%戻しの水準も下回って来ており、61.8%戻しの114.00円付近が目先のポイントとして意識される。

 なお、この日は12月の米生産者物価指数(PPI)が発表になったが、全体指数は前月比0.2%上昇と予想を下回り、前月比ではインフレ上昇の一服感を示した。ガソリンと食品価格低下が反映。サービス価格は前月比で上昇したものの、ペースは鈍化している。比較的早い段階での物価を反映する中間財が前月比0.3%低下しており、昨年の急激なインフレは沈静化に向かう可能性が示唆されている。下げたのは2020年4月以来。

 ユーロドルは後半に伸び悩んだものの、1.1480ドル近辺まで買い戻される場面が見られた。100日線が1.1510ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。ユーロドルは概ね1.13ドルを挟んでのレンジ取引に終始していたが、前日の米消費者物価指数(CPI)後のドル売りに伴う買いでレンジを上抜けている。ショート勢もショートカバーを活発化させているようだ。ただ、ファンダメンタルズ的には何も変化はなく、レンジを上抜けた後でもユーロの上昇は続かないとの見方も少なくない。FRBの政策は適切であり、ドルの押し目買いの機会は十分にあるという。

 FRBとECBの相対的なバランスシートの見通しを考慮すれば、ユーロ圏の金利が米国を上回るという期待は、かなり無理があるとしている。

 ポンドドルは後半になって伸び悩んだものの、一時1.3750ドル付近までリバウンド相場を加速させ、200日線に顔合わせした。目先は10月高値の1.3835ドル付近が意識されるが、本格的な上昇相場に入って行くか注目される。ポンドはユーロと違って英中銀による利上げ期待が高まっている。今年に入ってポンドは対ドルのみならず、豪ドルやカナダドルといった資源国通貨に対しても上昇しており、G10通貨の中ではトップのパフォーマンスとなっている。

 そのポンドだが、足元はジョンソン首相のスキャンダルの動向が気掛かりとなっているようだ。首相は、ロックダウンが導入されていた2020年に首相官邸でパーティーを開いていたとされる問題を巡り、前日の議会でイベントに出席したことを認め謝罪した。野党中心に辞任要求が高まっており、首相は在職期間で最も厳しい時期に直面している。ただ、市場はいまのところ、英国の政情不安を織り込むことに懐疑的なようで、やり過ごしている状況。首相の進退問題にまでは発展しないと見ているのかもしれない。

 ただ一部からは、ジョンソン首相がスキャンダルから国民の目をそらすために、EUとの離脱交渉で態度を硬化させるのではとの声が出ている。離脱問題は与党保守党が見解を統一している数少ない問題の1つとなっている。もし、ジョンソン首相がEUに対する態度を硬化させ、緊張を高めるようであれば、EUからの対抗措置を受ける可能性があり、それは英経済とポンドを傷つける可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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