FOMC議事録を通過し、ドル買い優勢に=NY為替概況

 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。午後に公表されたFOMC議事録を受けて為替市場は一旦売買が交錯したものの、次第にドル買いが優勢となっている。議事録では数名の委員が0.50%ポイント利上げが好ましいまたは支持できると言及していたことが明らかになった一方で、ほぼ全員が0.25%ポイントの利上げを支持したことも明らかになった。

 事前に想定された範囲でもあり、現在の状況よりもタカ派な印象はない。このところ市場に広がっているタカ派な雰囲気は前回のFOMC後に発表された米経済指標の強さによるものであり、前回のFOMCにそれは反映されていない。

 ただ、イベントを通過したことで改めてドルを買う動きが出ていたようだ。

 ドル円は一時134.40円近辺まで下落していたものの、再び135円をうかがう展開が見られた。ドル買いで下値は支えられているものの、いまのところ135円台には慎重なようだ。24日金曜日に植田次期日銀総裁候補の所信表明を確認したい意向もありそうだ。

 ユーロドルは下値模索が続いており、1.06ドル割れを試す動き。先週の安値を下回っており、本格的に1.05ドル台を試に行くか注目される展開が見られている。

 ただ、市場からはECBのターミナルレートの予想を3.75%に上方修正する動きも出ており、中銀預金金利のターミナルレートの予想を従来の3.25%から3.75%に引き上げる動きも出ている。3月と5月に0.50%ポイント、6月に0.25%ポイントの利上げを見込んでいるという。

 ユーロ圏経済の勢いと労働市場の強さ理由に挙げ、基調インフレの低下が説得力のある方法で達成するには時間がかかることを示唆しているという。ECBは現在、早ければ5月にも利上げサイクルを終値する可能性に言及しているが、最近のECB理事からのコメントとおよび、そのトーンが一致していないように感じると指摘している。

 ポンドドルも戻り売りに押され1.20ドル台半ばまで下落。前日は強い英PMIを受けてポンド買いが強まっていたが、ポンドドルは21日線が控える1.2165ドル付近に到達することなく値を落とす展開となった。

 前日の強い英PMIを受けて、市場は英中銀の利上げ予想を上方修正する動きが出ているが、市場の利上げ期待は行き過ぎとの指摘も聞かれる。短期金融市場では英中銀のターミナルレート(最終到達点)予想を週初から約0.15%ポイント上昇させ、4.55%まで上昇させている。これは少なくともあと2回の利上げを織り込む動き。

 しかし、英中銀が最終的に1回以上の利上げを実施するとは確信しておらず、その場合、ポンド相場は英中銀のストーリーへの感応度が高くなっている分、ポンドの持続的なアウトパフォームを見るのは難しいという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美