ドル買いが続くも総じて様子見 ドル円は134円台=NY為替概況

 きょうもNY為替市場はドル買いが見られていたが、総じて様子見気分が強かった。朝方発表の米新規失業保険申請件数が雇用の力強さを示したことでドル買いが強まり、ドル円は135円台に上昇した。しかし、勢いはさほどなく135円台を駆け上がる気配まではない中、134円台に伸び悩んでいる。明日に植田次期日銀総裁候補の所信聴取が控えていることもあり、135円台にはなお慎重なようだ。

 前日のFOMC議事録はタカ派なトーンではあったものの想定内ではあった。為替市場はイベント通過で再びドル買いがやや優勢となっているが、議事録はドルを更に上昇させる理由までは与えていないとの指摘も出ている。議事録自体には更にドルを上昇させる理由は何もなかったという。

 ドルは最近の米国債利回り上昇に支えられ、短期的に堅調に推移すると思われるが、議事録はさらなるドル上昇のきっかけとなる新たな材料は提供しなかったという。

 ユーロドルは1.05ドル台に値を落とした。先週安値をブレイクしており、戻り売りの流れが加速している印象もある。

 ユーロドルは約7週間ぶりの安値となったが、ロンドン時間に発表になった1月分のユーロ圏消費者物価指数(HICP)確報値は速報値から若干上方修正され、発表後はユーロ買いの反応も見られていた。しかし、一時的な動きに留まっている。HICPはコアインフレが過去最高の前年比5.3%に上方改定されるなど、ECBのタカ派姿勢を裏付ける内容となった。

 この反応を受けて、ユーロはしばらく弱含みで推移する可能性が高いとの指摘も聞かれる。最近はECB理事よりもFOMC委員の発言のほうがタカ派に聞こえることや、この日の2月のドイツIfo景況感指数が予想を下回ったことなどからユーロドルは上値の重い展開が続く可能性が高いという。

 ポンドドルも上値の重い展開が続いており、一時1.20ドルを割り込む場面も見られた。目先は1.1930ドル付近に来ている100日線や200日線を試しに行くか注目される。

 市場からは、英中銀が見せている慎重な政策スタンスは、インフレが英中銀の予想以上に持続した場合、ポンド安を招く可能性があるとの指摘が出ている。英中銀は前回の金融政策委員会(MPC)で、年内にインフレが低下するという楽観的見通しに基づき、利上げサイクルが終了に近いことを示唆した。

 しかし、英中銀がインフレとの闘いを早期に手仕舞いすることで、インフレがより根強い問題となる危険性もある。このリスクは今後数カ月、ポンドの重荷になる可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美