イベント待ちの中、ドル円は136円付近で方向感のない展開=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は136円付近で方向感のない展開が続いた。東京時間に135.40円近辺まで下落していたものの海外市場に入って買い戻しが優勢となっている。ただ、明日にパウエルFRB議長の議会証言が控えていることや、週末には米雇用統計の発表が控える中で、様子見気分も強い。

 このところのドル円は概ね135-137円の間での上下動が続いている。ドル高期待が根強く下値はサポートされているものの、137円台前半に来ている200日線には慎重といった雰囲気に変化はない。

 今週は金曜日の米雇用統計に向けて神経質な展開も想定され、ドル円は比較的狭いレンジ内での取引が続くとの見方も出ている。1月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が51.7万人増まで拡大していたが、市場はそれが異常値であったのかどうかを確認したがっている。現在は20万人増がコンセンサスとなっているが、再び波乱の内容となるか注目される。

 パウエルFRB議長の議会証言については、タカ派姿勢の継続が予想されるが、これまでと変化はなく、バランスを取ってくるものと見られている。

 ユーロドルは1.06ドル台後半まで上昇しており、21日線を回復する動きが出ている。市場からは、ECBは夏までに少なくとも1.00%ポイントの追加利上げを行う可能性が高く、それはFRBの引き締めに伴うドル高に対してユーロを支えるとの指摘が出ている。

 FRBは3月、5月、6月に0.25%ずつの利上げを実施すると見込んでおり、それは引き締めの流れと米国債の逆イールドがもうしばらく続くことを意味するという。一方でそれは今年のドル下落の大半は下期に起こる可能性を示唆しているとも言えるとしている。

 しかし、ECBによる追加利上げがユーロをある程度支え、ユーロドルは夏に向けて1.05-1.10ドルのレンジでの取引に繋がるという。

 ポンドドルは1.20ドル台前半での方向感のない展開。市場からは、ポンドは最近のレンジ取引から抜け出すきっかけを見つけるのが難しく、今週も方向感が出ない可能性があるとの見方が出ている。先週は北アイルランド問題での英国とEUの合意が伝わったが、たとえ、それにさらなる進展があったとしても、恐らくポンドにとってそれ以上の価値はないという。

 また、先週のベイリー英中銀総裁と英中銀チーフエコノミストのピル委員の発言からは、今週の英中銀委員のスピーチもポンドを動かすことはないとも指摘。むしろ、ただし、今週の米国のイベントの内容次第では、ポンドドルは大きく動く可能性は留意されるとしている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美